美容整形について

身体醜形恐怖症の人は美容整形を受けるべきなのか?

身体醜形恐怖症とは、自分の体の一部分あるいは複数の部分を、必要以上に醜いと思い込んで、悩み続ける精神障害のことです。そのほとんど人は、他人から見て何も気にならないようなことを真剣に悩んでおり、いくら他人が「誰も気にならないし、変じゃないから大丈夫だよ」と説得しても聞く耳を持たないという特徴があります。

例を挙げると、
・0.5mm未満の微妙な二重の幅の左右差を異常に気にする。
・目の形に異常なこだわりを持っており、今の自分の目はおかしいと思い込んでいる。
・鼻の形に異常なこだわりを持っており、微妙な左右差などを気にして、自分の鼻はおかしいと思い込んでいる。
・輪郭の微妙な歪みや顔のたるみの左右差などを異常に気にして、完璧な左右対称でないことを必要以上に悩んでいる。
・乳首の形、大きさや微妙な左右差を異常に気にして悩んでいる。
・小陰唇の形、大きさや微妙な左右差を異常に気にして悩んでいる。
などです。

考えられる原因の1つに、幼少期における精神的なトラウマがあります。

例えば、子供の頃に、団子鼻が原因で苛められていると、その精神的なトラウマが心の中に深く刻み込まれ、大人になっても潜在意識の中に強く残ります。すると、職場や恋人との人間関係が上手くいかなかったりすると、その原因が全て自分の鼻が醜いせいだと思い込んでしまい、余計に鼻のことを悩むようになってしまいます。このような事例は、目で悩んでいる人にも多いです。

乳首や小陰唇で悩んでいる人は、以前付き合っていた恋人に、乳首や小陰唇のことを指摘され、それが深く傷つき、トラウマになり、必要以上に悩むようになってしまったという人が多いです。

ただ、全ての身体醜形恐怖症患者が過去のトラウマを持っているわけではなく、特別な誘因がなくても、体の一部分を醜いと思い込んでいる人もいます。

また、統合失調症の一症状や前駆症状として、身体醜形恐怖症状が現れることもあります。アメリカの医師の調査によると、全体の約1%の人が身体醜形恐怖症だといわれていますが、病院に受診しない人や家に引きこもっている人がほとんどなので、実際には1%よりもはるかに多いともいわれています。そもそも、身体醜形恐怖症を明確に位置付ける規準が存在しないため、どの程度自分の身体を悩んでいると身体醜形恐怖症なのかということを診断することもできないのです。

では、美容外科クリニックを受診する人のうち、どれくらいの割合が身体醜形恐怖症なのかというと、私の感覚では、程度の差はあれ、だいたい5~10%くらいではないかと思っています。そして、そのほとんどの人は、実際に美容整形の治療を受けています。身体醜形恐怖症の人は、美容整形を受けることによって、その強迫観念が軽減して、症状が楽になることが、医学的にも認められています。日本形成外科学会の専門医試験でも、「身体醜形恐怖症患者に美容外科手術を施すと、症状が改善することがある」という○×問題の答えは○です

私の診察にも、ときどき身体醜形恐怖症の患者様がいらっしゃるので、しっかりとカウンセリングさせていただいた上で治療をさせていただくことはあります。ただし、私が診察した全ての身体醜形恐怖症患者様を治療させていただくわけではなく、中には治療をお断りさせていただくこともあります。

どういうタイプの身体醜形恐怖症患者様の治療をお断りさせていただくのかというと、それは、攻撃型の粘着気質タイプの方と理解力があまりに乏しいタイプの方です。身体醜形恐怖症で攻撃型の粘着気質タイプの人は、仕事や人間関係や恋愛が上手くいっていなく、その原因が自分の顔や身体にあると思っている人が多いです(実際には性格に問題があることが多いです)。そのため、手術が上手くいっても、仕事や人間関係は良くならず、良くならないのは手術に問題があると思い込んでしまい、医師とトラブルになることがあります。

身体醜形恐怖症で理解力が乏しいタイプの人は、術前のカウンセリングで説明したことを理解し、覚えておくことができないため、術後にトラブルになる可能性があります。このタイプの人は、例えば二重の手術の場合、「こういう二重になりたい」という強い願望を持っていることが多いのですが、実際にその通りにするのは物理的に不可能であることがあり、「不可能なので、こことここはこうなってしまいます。でもこことここは希望通りになります。」と詳しく説明しても、理解し記憶することができないため、術後に説明した通りになっていても、「私が思っていた二重になっていない」と、医師とトラブルになってしまいます。

これら2つのタイプの方々は、術後のトラブルを避けるため、カウンセリングの際にその兆候が見られたら、手術を丁重にお断りさせていただくことがあります。

ただ、これらのタイプに当てはまり、手術をお断りさせていただくのは非常に稀なことであり、ほとんどの身体醜形恐怖症の患者様は、手術させていただき、満足していただいております

私が身体醜形恐怖症の患者様のカウンセリングをするときは、人一倍時間をかけて、丁寧にするように心がけています

身体醜形恐怖症のほとんどの方は、自分が身体醜形恐怖症だという自覚はないのですが、自分の体に関して非常に強い拘りを持っています。そのため、細かい要求を正確に聴取し、できることできないことや、術後の仕上がりについて的確に説明して納得していただいてから手術しなければなりません。

ときどき当院に身体醜形恐怖症の患者様で、他院で手術に失敗して、何軒も違う美容外科で修正手術をして回り、修正地獄のループに陥っている方がいらっしゃいます。そのような方のほとんどは、最初に手術をうけた美容外科の手術のレベルが低かったり、カウンセリングでの説明が不充分であったためによるものです。身体醜形恐怖症の方こそ、技術力があり、人間的にも優れている美容外科医にかかるべきだと思います

身体醜形恐怖症の人は、精神科や心療内科を受診しても、日本の精神科医のほとんどは身体醜形恐怖症の知識が乏しく、接し方がわからないことが多いです。精神安定剤、抗不安薬、坑うつ薬を処方され、内服しても、根本的な解決にはならず、余計に負のループに陥ることもあります。

私は、美容外科医の究極の使命は、身体醜形恐怖症の方を満足させる手術をして、外観的にも精神的にも満足させてあげて、健全な社会生活を送っていただけるようにさせていただくことだと思っています

この記事の監修医情報
平成11年
  1. 藤田医科大学医学部卒業
平成11年
~平成13年
  1. 藤田医科大学麻酔救急科に勤務
  2. 麻酔科標榜医取得
平成13年
  1. 藤田医科大学大学院入学。
    形成外科入局。高須クリニック勤務
平成14年
  1. 群馬県立がんセンター頭頚部外科勤務
平成15年
  1. Ivo Pitanguy Institute Postgraduate Course (Brazil) 研修
平成17年
  1. 単一植毛手術の研究にて医学博士取得
平成19年
  1. 日本形成外科学会専門医取得
  2. 高須クリニック名古屋院院長

※施術方法や施術の流れに関しましては、患者様ごとにあわせて執り行いますので、各院・各医師により異なります。予めご了承ください。
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