高須幹弥
私のモットー
要望が多くて細かい患者様でも、カウンセリングの時点でむやみに手術を断らない。
私のモットーに、「要望が多くて細かい患者様でも、カウンセリングの時点でむやみに手術を断らない」というものがあります。
初診の患者様のカウンセリングをしていると、時々、
「ここに来る前に他のクリニックにもカウンセリングに行ってきたんですが、そこの先生に私が色々要望を言うと、なんか凄く嫌な顔をして、ぶっきらぼうな感じでしか答えてくれなくて、私の手術をするのが嫌そうだったので、そこで手術するのはやめて、幹弥先生に手術してもらおうと思ってここに来ました」
などのように、他院で手術を断られてから私のところに来る患者様がいらっしゃいます。
そのような患者様を私がカウンセリングすると、色々とたくさんのご要望を仰ることが多いです。
例えば、二重まぶた全切開法希望の患者様で、
「目頭側から目尻側まで同じ幅の平行型二重で、目を開けた状態で2mm二重の幅が見えて、アイラインを引いても二重が隠れない二重で、まつ毛の生え際がちゃんと見えて、二重のラインの下がぷっくり膨らんでなくて、すっぴんでも自然で、絶対に整形だってバレない二重にしたいです」
などのように、その患者様の目では物理的に作るのが不可能な二重を要望されたりします。
その他にも、
- なりたい芸能人の写真を見せて、「この人の目のように、ちゃんと目頭側から二重が始まって、つり目っぽくならないように、ややたれ目気味で…」のように、なりたい芸能人の目を細かく解説し、全く同じ目を希望される患者様
- 大量の雑誌のグラビアの切り抜きや写真集を見せて、「こういう感じの二重にはなりたくない」「こういう感じの二重がいい」と細かく説明してご要望される患者様
- 大量のメモ用紙やレポート用紙に要望や質問、イラストなどを書いて説明され、細かくたくさんのことをご要望される患者様
- ほとんど左右対称の目なのに、「私、目が右と左で非対称なんですよー、左右対称の目にしてほしいんですよー」と、コンピーターグラフィック並の左右対称を要望される患者様
- 二重のラインを重瞼棒で確認する際、「もう少し広くお願いします」⇒「もう少し狭くお願いします」⇒「もう少し広くお願いします」⇒「もう少し狭くお願いします」というように、0.5mmくらいの範囲内で10回以上幅を変えてもラインが決まらない患者様
- 二重のラインを重瞼棒で確認する際、「これって何mmですか?」「これは目を閉じた状態で何mmですか?」「これは目を開けた状態で何mmですか?」と、必要以上に○○mmにこだわる患者様
などの方も他院で手術を断られて、私のところへいらっしゃることが多いです。
何故、他院でたくさんの要望を医者に伝えると、嫌な顔をされたり、手術を断られてしまうのでしょうか?
それは、医者が自分の身を守るためだと思います。
美容整形は、病気でもない健康な人間の身体に侵襲を加えて、より美しくする医学です。
手術をして、患者様の希望通りになれば、患者様は満足して喜んでくださいます。
手術をして、患者様の希望通りの仕上がりになっていなければ、患者様は不満を感じ、無料での再手術を要求されたり、返金を要求されたりします。
場合によっては、手術代金の返金だけでなく、精神的慰謝料なども要求されたり、「もうここで手術するのは嫌です。別のところで修正手術するから、その手術代金も払ってください。」と、返金+他院での手術代金を要求されたり、最悪の場合、裁判で訴えられたりします。
手術を受ける患者様にリスクがあるように、手術をする医者にもリスクがあります。そのため、患者様がインターネットで調べたり、何軒もクリニックをカウンセリングして回って、医者を選ぶのと同じように、他院の医者も患者様を選ぶことが多いです。
〈要望が少ない患者ほど医者に好まれる?〉
要望が少ない患者様の手術は難易度が低く、患者様の満足度も高くなり、手術後に医者と患者様が言い争いやトラブルになる可能性は極めて低いです。例えば、一重まぶたの女性患者様が、「私に似合った自然な二重にして、私を可愛くしてください」とだけ要望された場合、手術の難易度は非常に低いです。
人間は誰でも、一番自然で似合う二重のラインがあるので、埋没法にせよ切開法にせよ、そのラインで二重を作れば、綺麗な二重になります。一重まぶたの人が自然で似合っている綺麗な二重になれば、その人は手術前より可愛くなるので、患者様は大満足されます。
患者様が、「目頭側から目尻側まで同じ幅の平行型二重で、目を開けた状態で2mm二重の幅が見えて、アイラインを引いても二重が隠れない二重にしてください」と要望された場合、先程の患者様に比べると、手術の難易度は格段に上がります。
何故なら、医者は患者様に、
- 二重を作る
- 平行型にする
- 目頭側から目尻側まで同じ幅にする
- 目を開けた状態で2mm二重の幅が見える二重にする
- アイラインを引いても二重が隠れないようにする
という5つの条件を約束し、5つの条件全てを守らなければならないからです。
5つの条件全てがそろった二重を手術で作るのは極めて難しいし、患者様の元の目によっては、物理的に不可能であることもあります。無理して手術で5つの条件全てを満たそうとすると、癒着により、傷跡が不自然な形で食い込むなどの別の弊害が生じ、今度はそちらのほうの不満が出ることもあります。
要望が少なく難易度の低い二重まぶた切開法でも、要望が細かくて多い難易度の高い二重まぶた切開法でも、料金は同じなので、お金儲け主義、ことなかれ主義の美容外科医は、難易度の高い手術を断って、難易度の低い手術だけを引き受けるといったように、患者様を選別します。
そのため、他院では一般的に、要望の少ない患者様は好まれ、要望の多い患者様は敬遠される傾向にあります。
〈美容整形手術の「成功」or「失敗」は、医者ではなく患者様が判断する?〉
美容整形の患者様はよく、「成功」「失敗」という言葉を使いますが、形を変えて美しくする美容整形手術は、どこからどこまでが成功で、どこからが失敗といった明確な定義、基準はありません。
例えば、パイプカット手術などの場合は、「成功」or「失敗」が明確です。
左右の精管が確実に切断され、手術後に血腫や感染などの合併症を起こさず、精液検査で精子が0になっていれば、手術は「成功」です。パイプカット手術が成功すれば、患者様は何もクレームを言うことはなく、喜んでくださいます。
しかし、二重まぶた手術などの形を美しく変える手術の場合、「成功」「失敗」の定義が曖昧です(もちろん、二重まぶた切開法をしたのに、二重のラインの癒着が外れて二重が取れてしまったなどのことは明らかな「失敗」ですが)。一重まぶたの患者様が、「私に似合った自然な二重にしてください」とだけ要望された場合、手術後に自然な二重になり、患者様が喜んでくだされば手術は「成功」でしょう。
患者様が術前のカウンセリングで、「目を開けた状態で2mm二重の幅が見える自然な平行型二重で、完璧な左右対称にしてください」と要望され、手術をした場合、手術後にほぼ要望通りになり、医者が「成功」だと思っても、
「右より左のほうが二重の幅が狭いですけど、これって失敗ですよね?」
と、0.5mm未満のほとんどわからない誤差範囲内の左右差を気にされる場合や、元の目が左右非対称であるために生じた左右差で、それも0.5mm未満のほとんどわからない程度のものでも、患者様は「失敗」だと訴えることがあります。
このように、名医が最高の手術をして、医者が「成功した」と思っても、患者様は「失敗だ」と言うことがあります。
また、全く同じ結果でも、患者様によって、「凄くよくなりました!ありがとうございました!」と満足され、「成功」を認めてくださる方がいれば、何かに不満を訴え、「これって失敗ですよねー?」と言われる方もいます。
最終的に、美容整形手術の「成功」or「失敗」は、手術を受けた患者様が決めることになります。そのため、術前のカウンセリングで、細かいことをたくさん要望しない患者様や、小さいことを気にしない患者様ほど手術の成功率は高くなり、細かいことをたくさん要望する患者様や、小さいことを気にする神経質な患者様ほど手術の成功率は低くなり、失敗率が高くなります。
〈手術を断られたらしょうがない?〉
医者には応召義務というものがあり、法律で定められています。応召義務とは、医師などの職にある者が診療行為を求められたときに、正当な理由が無い限りこれを拒んではならないとする義務のことです。要するに、治療を必要とする病人が医者に治療を求めたとき、
「めんどくさいから治療しません」
「今日は早く帰って家族みんな一緒にごはん食べたいから治療しません」
「あなたとは何となくフィーリングが合わないから治療しません」
「あなたは何となく態度が悪くて気に入らないから治療しません」
「あなたは喋り方がなんかムカつくから手術しません」
などの正当ではない理由で断ってはならないということです。
しかし、応召義務というのは、あくまで病気で苦しんでおり、治療を必要とする患者様の場合に適応するものであって、美容整形に関しては全く当てはまりません。美容整形は、健康な身体にわざわざ侵襲を加え、美しくする医学であるため、保健衛生上は全く必要ないからです。
美容整形手術は、高い手術料金をいただいて、健康な身体にメスを入れるもので、ある程度のリスク、副作用、合併症も伴うため、医者と患者様が手術前に信頼関係を結ぶことができなければ、手術をすることはできません。
他院の美容外科医は、「この患者様とは信頼関係を結ぶことはできないな」と判断した場合、手術を断ります。
その場合、
「あなたは態度が悪いから手術をお断りします」
「そんなに心配で細かいこと気にするんだったら、手術するのをやめれば?」
「あなたは理解力が低く記憶力も悪くて同じ質問を何回もするので、私が手術前に説明したことでも、術後に『そんなことは聞いていない!』って言ってきてトラブルになりそうだから、手術をお断りします」
「あなたは要望が多くて細かいし、凄く神経質でねちっこい性格だから、私が丁寧に手術しても、小さいことで文句言ってきそうなので、手術をお断りします」
などと、本音を言ってしまうと、
「態度が悪いって失礼だろ!謝罪しろ!」
「私はただ綺麗になりたくて来て、心配だから色々質問してるだけなのに、その対応は酷くないですか!?」
「先生の予約を取るために1ヶ月も待って、わざわざ遠くから来たのに、手術してくれないなんてどういうことですか!?」
「自分の顔のことなんだから凄く心配だし、色々細かいこだわりとか要望があって当然じゃないですか!」
「こっちは素人で専門的なことはわからないんだからしょうがないじゃないですか!」
と、手術してないのにトラブルになってしまうので、
「あなたは今のままで十分可愛いし、その手術をするとかえってバランスが悪くなるので、手術しないほうが良いですよ」と、やんわりと嘘をついてお断りしたり、医者によっては、患者様と目を合わせず、嫌そうな顔をしたり、わざとぶっきらぼうな態度でカウンセリングし、患者様に「この医者の手術は受けたくない」と思わせ、スムーズに帰らせるという高等テクニックを使う者もいます。
いずれにせよ、医者が手術を断ったり、手術しないように促す場合は、医者自身は手術したくないわけだし、手術を受けてもその患者様は不満が残る可能性が高いため、その医者の手術を受けることにこだわらず、他の医者のカウンセリングを受けるか、手術すること自体を諦めるのが良いと思います。
〈君子危うきに近寄らず?〉
医学の世界の裏の格言に、「君子危うきに近寄らず」という言葉があります。それは、危なっかしい症例、うまくいかない可能性がある症例、トラブルになりそうな症例には最初から手をつけないということです。例えば、夜中に妊婦さんが早産で子供が産まれそうなとき、その妊婦さんがくも膜下出血になり、意識障害を起こしたとします。
妊婦さんは救急車で運ばれ、救急隊は受け入れてくれる病院を探すために、色々な病院に連絡します。
しかし、そのような患者様を救うためには、
- 緊急帝王切開ができる施設と産科医のチーム
- 全身麻酔をかける麻酔科の専門医、麻酔設備
- 緊急開頭手術ができる脳外科医のチーム
- 未熟児を管理するための小児科医のチーム、NICU
が全て揃っている必要があります。
夜中にそれだけのチームが稼働できる病院はなかなかないため、患者様を引き取ってくれる病院はありません。しかし、このままどこの病院も引き取ってくれなければ、母子ともに救急車の中で命を落とすことになるので、正義感の強い医者が自分の病院に引き取ることを決断します。
しかし、そこの病院は小児科医のチームやNICUがないため、母親の命は救えましたが、子供の命は救えませんでした。母親とその家族は、子供の命が救えなかったことに腹を立て、医者と病院を裁判所に訴え、そのことは新聞に載り、テレビのニュースでも流れ、医者と病院は世間から酷いバッシングを受けることになります。
また、このようなこともあります。
肝不全の患者様がいたとします。その患者様は、肝移植手術をするしか命を救う方法がありませんでした。しかし、その患者様は非常に全身状態が悪く、肝移植手術が成功する確率は30%しかありません。手術をしても、失敗する確率が70%もあるため、高い手術成功率を謳っている外科医や病院は、手術成功率を下げたくないために、難しい手術やリスクの高い手術は避けるので、その患者様の手術も断ります。
患者様の家族は、30%の望みにかけ、手術を希望したため、他の病院の正義感の強い外科医が手術を引き受けました。しかし、残念ながら、手術は上手くいかず、患者様はお亡くなりになりました。その後、家族が納得してくれれば良いのですが、納得しなかった場合、裁判所に訴え、それが新聞に載ったり、テレビのニュースで流れたりすれば、手術をした外科医と病院は、手術を失敗して患者を殺したというレッテルを世間に貼られることになります。
どちらのケースも、手術を断った医者や病院はノーダメージで、手術を引き受けた正義感の強い医者が仕打ちを受けることになります。医療の世界には、このような理不尽な事が多々あり、トラブルに巻き込まれそうな症例には最初から手をつけないという鉄則があります。美容整形の世界でも、やはり、「君子危うきに近寄らず」を鉄則にしている医者やクリニックが多いのが現状です。
〈私は要望が多くて細かい患者様でも、カウンセリングの時点でむやみに手術を断りません〉
しかし、私は要望が多くて細かい患者様でも、カウンセリングの時点でむやみに手術を断るようなことは絶対にしません。「手術する必要はないから」とか、「手術するとバランスが悪くなるからしないほうが良いですよ」などと嘘をついてお断りすることもありません。
わざとぶっきらぼうな態度をとったり、嫌な顔をしたり、目を合わせないで、患者様に私の手術を受けたくないように思わせることも絶対にしません。下手な小細工は使わず、患者様と真っ向から向き合い、正々堂々、全て正直にお話しします。できることできないことをはっきりと説明し、リスクも正直にお話しします。
その上で、最終的に患者様自身が手術を受けるかどうかを判断されれば良いと思います。下手な小細工を使ったり、嘘をつくのは、患者様に対して失礼だと思うし、患者様の頭の中の混乱を招き、良くないことだと思います。美容整形は魔法ではないので、どのパーツでも、芸能人や他人と全く同じ形にすることはできません。
夢と希望を描き、私に魔法をかけてもらおうといらっしゃる患者様もいらっしゃいます。
しかし、美容整形手術の結果というのは極めて現実的なものです。私はカウンセリングで現実的なことしか話さないので、夢を描いて魔法をかけてもらいにいらした患者様は、私のカウンセリングを受けてがっかりされるかもしれません。
しかし、それは、患者様に嘘をつきたくない、手術が終わった後の現実的な結果にがっかりさせたくないという、患者様を想う気持ちからのものです。
これからも患者様の幸せのために頑張っていきますので、宜しくお願いいたします。
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