恐らく、手術に問題があり、元に戻ってしまったのだと思います。
陥没乳頭は、乳頭(乳首)の一部の中央部分の乳管が未熟であり、短縮した状態であるため、乳頭の中央部分が引き込まれて、生じている状態です。
手術で陥没乳頭を治す場合は、短縮している乳管を解除し、引っ込んでいる乳頭を引き出し、また引っ込まないように固定する必要があります。
手術術式には、
①乳頭基部の周りに3ヶ所程度Z法を行い、引き出して固定する方法
②乳頭基部に小さな切開をし、短縮している乳管を解除し、ナイロン糸を埋没させて基部を締め付けて固定する方法
③乳頭の真ん中に割を入れ、短縮している乳管を解除して引き出し、基部を縫縮固定して縫合する方法
などがあります。
質問された方が、他院でどの術式でされたかはわかりませんが、短縮した乳管の処理が甘く、後戻りしてしまった可能性が高いです。
再手術する場合は、ある程度傷跡や瘢痕組織が成熟し、軟らかくなってから行うほうが、手術がやり易いし、血流障害で乳頭の皮膚が壊死するなどのリスクが起こりにくいので、前回の手術から6ヶ月以上経過してから行うのが望ましいです。
再手術するときは、最も確実に、短縮した乳管を直視下に解除することができる③の方法で行うことが多いです。
再手術は、初回手術と異なり、乳管の周りに硬い瘢痕組織ができており、手術が難しくなります。
特に、今後、妊娠、出産する予定がある患者様の場合は、授乳機能を残すために、出来るだけ乳管を傷つけないように温存する必要があります。
確実に後戻りしないように治そうと思うと、乳管を切離しないといけなかったり、引き出した乳頭の基部を薄くしないといけないので、授乳機能があまり残らなかったり、乳頭の尖端の皮膚が血流障害を起こして壊死したりするリスクが高くなります。
逆に、授乳機能をしっかりと残し、血流障害による壊死も起こらないようにしようと思うと、乳管の処理が甘くなり、再び後戻りして陥没してしまうリスクがあります。
そういった理由で、陥没乳頭の再手術は難しいことが多いですが、正しい手術をおこなえば、陥没乳頭は必ず治るし、再陥没することもありません。
高須クリニックには手術の上手なベテランの形成外科医が多数おりますので、良かったら一度診察にお越し下さい。