顔の施術について

鼻の下が長いのを治すのはどの治療が良いのか?

メールのお問い合わせなどでよく、「鼻の下が長いのが悩みなんですが、どんな治療法がありますか?」と御質問いただきます。鼻の下が長い人の原因のほとんどは骨格的に中顔面が長いことなので、根本的に治すならLefort1骨切りという手術で中顔面の骨をダルマ落としのように中抜きし、上下の骨をプレートで固定して短縮する必要があります

しかし、この手術は本来顎変形症という病気の人に対して健康保険で行う手術であり、術前術後計数年間の歯科矯正治療と約1ヶ月間の入院が必要のリスクの高い大手術で、美容目的で行うことは通常ありません

美容外科クリニックでよく行われる手術では、上口唇短縮術(上口唇リフト)と、鼻先や鼻柱を下に下げる耳介軟骨移植があり、私は耳介軟骨移植のほうをよく行います。

上口唇短縮術は局所麻酔下に鼻と唇の境目の皮膚を切除して縫い合わせることにより上口唇を持ち上げて、鼻の下を短く見せる手術です。しかし、この手術は様々なリスクを伴うため、手術を受ける場合はリスクを把握しておく必要があります。

リスクの1つに、鼻と唇の境目の傷が目立ち易いということがあります。鼻と唇の境目は元々傷が赤く盛り上がったり、ケロイド状になりやすい部位なので、ケロイド体質の方にこの手術をすると傷が目立つことがあります。

また、大きな効果を出そうとすると皮膚を切除して縫い合わせることにより、鼻柱の付け根と小鼻の付け根が下に引っ張られるため、正面から見たとき、鼻の穴が縦に長く見えるようになってしまいます(いわゆるブタ鼻になります)。

最近の若い患者様のほとんどが正面から見て鼻の穴が見えるのを嫌う傾向にあるため、そのような方にとってこの手術を過度なデザインで行うのは大変危険です。また、上口唇が持ち上がる分、笑ったときに歯茎が見えるガミースマイルになりやすいです。鼻の下が長い人のほとんどは元々ガミースマイルであるため、この手術をするとガミースマイルの症状が悪化することがあります。

一方、耳介軟骨移植は鼻先や鼻柱を下に下げることにより鼻の下を短く見せる手術であり、上口唇短縮術に比べると特別大きなリスクはありません。

傷は鼻の穴の中と耳の穴の中あるいは耳の裏なので、目立つ心配はありませんし、ガミースマイルが悪化することもなく、ブタ鼻になることもありません(むしろ鼻先が下に向くとブタ鼻は改善します)。

■上口唇短縮術と耳介軟骨移植の比較表
  上口唇短縮術 耳介軟骨移植
概要 鼻と唇の境目の皮膚を切除して縫い合わせることにより上口唇を持ち上げて、鼻の下を短く見せる手術。 鼻先や鼻柱を下に下げることにより鼻の下を短く見せる手術。
リスク 様々なリスクを伴い、その1つが鼻と唇の境目の傷が目立ち易いということがある。
また、鼻の穴が縦に長く見えるブタ鼻になり、ガミースマイルになりやすくもなる。
特別大きなリスクはない。
ガミースマイルが悪化することもなく、ブタ鼻になることもない(むしろ鼻先が下に向くとブタ鼻は改善する)。
傷跡 鼻と唇の境目の傷が目立ち易い。 目立つ心配はない。

私は、鼻の下が長い人に行う第一選択の手術は、鼻先や鼻柱を下に下げる耳介軟骨移植だと考えています

この記事の監修医情報
平成11年
  1. 藤田医科大学医学部卒業
平成11年
~平成13年
  1. 藤田医科大学麻酔救急科に勤務
  2. 麻酔科標榜医取得
平成13年
  1. 藤田医科大学大学院入学。
    形成外科入局。高須クリニック勤務
平成14年
  1. 群馬県立がんセンター頭頚部外科勤務
平成15年
  1. Ivo Pitanguy Institute Postgraduate Course (Brazil) 研修
平成17年
  1. 単一植毛手術の研究にて医学博士取得
平成19年
  1. 日本形成外科学会専門医取得
  2. 高須クリニック名古屋院院長

※施術方法や施術の流れに関しましては、各院・各医師により異なります。予めご了承ください。
※ホームページ上で掲載されている価格は税込表示となっております。
※当院で行う治療行為は保険診療適応外の自由診療になります。
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