ガミースマイルを治す耳介軟骨移植キャプチャ（写真）解説
～高須幹弥の術式の場合～

この患者様に対し、ガミースマイルを治す耳介軟骨移植手術をします。

笑うとこのように歯茎がかなり大きく露出します。

耳介軟骨を移植する部分をデザインペンでデザインしました。

鼻柱から上口唇の赤唇にかけて耳介軟骨が移植されることにより、笑ったときに上口唇が過剰に上がるつっかい棒になる仕組みです。

それでは手術を始めていきます。

手術は局所麻酔で行います。

最初に耳の耳介軟骨を採取する部位に局所麻酔注射をします。

局所麻酔注射は極細の注射針で行い、注入するときに痛みを感じないように人体のPHに近づけたアルカリ緩衝液入りの麻酔液を使用します。
時前に麻酔クリームを皮膚に塗ってあるため、麻酔の注射はそれほど痛みを感じません。

採取する軟骨の周囲にしっかりと局所麻酔注射をします。

軟骨と皮膚を剥がすように、皮下を膨らませながら局所麻酔液を注入します。

耳介軟骨を移植する部位にもしっかりと局所麻酔注射をしておきます。

右の鼻孔底（鼻の穴の中の床の部分）から上口唇の赤唇まで局所麻酔注射します。

麻酔がよく効いたら手術を始めていきます。

ここからは痛みは全く感じません。
耳甲介から耳介軟骨を採取するため、耳の裏側の皮膚切開をします。

皮膚切開したら、皮膚と軟骨の間をスーパーカット剪刀（ハサミ）で剥離していきます。

必要な量の軟骨を採取するため、耳甲介にメスを入れます。

手術前に、だいたい必要であろう耳介軟骨の量を推定しておき、その量で取ることが多いです。

軟骨摘出しました。

軟骨を採取した部位をバイポーラーで入念に止血します。

傷を6-0ナイロンで縫合します。

縫合が終わりました。

縫合した糸は約1週間後に抜糸します。

次に枕固定をするための4-0ナイロン糸を耳介を貫通させます。

2針通します。

2針ナイロン糸を貫通させました。

耳介の裏側に枕固定をするためのソフラチュール（抗生剤軟膏ガーゼ）を当て、ナイロン糸で圧迫固定します。

枕固定をするためのソフラチュール（抗生剤軟膏ガーゼ）を表側にも挟み、ナイロン糸を結びます。

結ぶ強さはきつすぎず緩すぎずです。

枕固定が完成しました。

この枕固定は、やっておかないと、耳甲介軟骨を採取したスペースに血液が溜まり、血腫が器質化して分厚く硬くなってしまうので、必ず行う必要があります。
枕固定も約1週間後に外します。

採取した耳甲介軟骨を細工します。

ハサミ（スーパーカット剪刀）で切ってトリミングし、最初にデザインした大きさ、形に形成します。

上口唇のデザインした部分に合わせてみて、ちょうどいい大きさ、形かどうかを確認します。

次に、耳甲介軟骨を挿入、移植するための皮膚切開をします。

右の鼻の穴の中の鼻孔底の部分に数mmの皮膚切開をします。

皮膚切開したところから耳介軟骨を移植する範囲を剥離します。

この際、皮下の浅い層を剥離するのではなく、口輪筋の直上くらいのある程度深い層を剥離するようにします。

剥離ができたら、耳甲介軟骨を傷口から挿入します。

軟骨は軟らかく可塑性があるので、小さい傷口からでも挿入することができます。

モスキートペアンで押し込んで挿入します。

デザイン通りの位置に耳甲介軟骨を留置することができました。

あとは傷口を6-0ナイロン糸で丁寧に縫合します。
傷は短いので、1～2針の縫合で済みます。
傷跡は鼻の穴の中なので、手術直後でも、外から傷跡や縫合してある糸は目立ちません。

手術は全て終了しました。

直後は局所麻酔注射などの影響もあり、やや腫れて上口唇全体がぼわっ浮腫んでいます。
腫れているのはあくまで上口唇の部分だけなので、マスクをすれば完全に隠すことができます。

1週間後の状態です。

抜糸は終わりました。
わずかに内出血が見られますが、これはあと数日で消えてしまいます。

笑っても上口唇が過剰に上がり過ぎることはなく、歯茎が見えなくなっています。

1週間後の耳の状態です。

耳介の変形などはありません。

抜糸直後の傷跡の状態です。

この傷跡は時間の経過と共にほとんど目立たなくなっていきます。

1ヶ月半後の状態です。

大きな腫れはほとんど引いています。

思いっきり笑っても、歯茎はほとんど見えなくなっています。