


教えて、幹弥先生!
一番リスクが高い美容整形手術は?ルフォー骨切り?Vライン?セットバック?エラ削り?
美容整形の手術で一番リスクが高いのはなんですか? ルフォー骨切り? Vライン? セットバック? エラ削り? Instagramフォロワー様からの質問に高須幹弥がお答えします。
目次
はじめに
インスタグラムのフォロワー様から、「美容整形の手術で一番リスクが高い手術はどれですか? 今後の参考のために教えてください」というご質問をただきました。
美容整形の手術は、どんな手術でも必ずリスクがあります。例えば、二重まぶたの埋没法でも糸が緩んで元に戻る可能性がありますし、切開による二重でも、適切に行わないと癒着が取れて元に戻ることがありえます。また、鼻、顎、バストにシリコンプロテーゼを入れる手術では、非常に低い確率ですが感染症を起こす可能性もあります。さらに、鼻中隔延長術では、将来的に鼻が曲がったり、鼻詰まりが生じたり、軟骨が浮き出て不自然になるなどのリスクが考えられます。このように、どんな美容整形手術でも何らかのリスクは存在します。
美容整形における最も大きなリスク
美容整形手術における最も大きなリスクは、やはり死亡事故です。美容整形手術は、本来、生命維持に絶対必要な手術ではありません。がんの手術や心臓のバイパス手術などは、行わなければ命に関わる、あるいは寿命が縮むといった理由がありますが、美容整形は基本的に「贅沢医療」とも呼ばれており、それを受けないことで命を落とすことはありませんし、深刻な不自由が生じることも基本的にはありません。そのため、健康保険の適用外で、全額自己負担となり、非常に高額な手術となります。
健康な体にメスを入れて体の形を変える手術である以上、死亡事故は絶対に起きてはならないものです。他の手術では、たとえうまくいかなくても、ある程度の修正手術でリカバリーが可能な場合が多いですが、死亡事故に関しては、一度命を落としてしまえば取り返しがつきません。美容外科医としては、絶対に起こしてはならない事故だと考えています。もちろん、私自身も死亡事故を起こしたことはありませんし、当院でそのような事故が起きたこともありません。今後も絶対に起こしてはならないと強く思っています。

死亡事故のリスクが高い美容整形手術
死亡事故を起こす可能性のある美容整形手術はいくつかありますが、数として多いのは、主に脂肪吸引手術、豊胸手術、そして顔面の骨切り手術です。ワキガの手術などでも死亡事故の報告はありますが、通常の手術であれば死亡事故が起こることは稀です。死亡事故の件数が多いのは、やはり脂肪吸引、豊胸、顔面の骨切りです。
この中でも、脂肪吸引と顔面の骨切りが死亡事故の件数が多く、豊胸手術はそれらの半分程度です。
脂肪吸引による死亡事故
脂肪吸引で死亡事故が起こるケースは様々ですが、主に腹部の脂肪吸引を行う際に、通常は安全に配慮して行われるカニューレ(吸引管)が腹腔内に入り込み、腸管穿孔を起こして腹膜炎となり、死に至る事故が時々発生します。あるいは、手術中に深部静脈血栓を起こし、それが肺塞栓につながって死に至るケース、全身麻酔や硬膜外麻酔時の事故で起こるケースもあります。
ただし、脂肪吸引や豊胸手術で起こる死亡事故は、そのほとんどが、手術を行う医師の技術が未熟である場合や、経験の浅い医師が執刀した場合、あるいは適切な管理ができていない劣悪な環境で手術が行われた場合に起きています。例えば、腹部の脂肪吸引で腸管穿孔を起こしてしまうというのは、通常では考えられないことです。
麻酔の事故でも麻酔の専門医がつきっきりで麻酔をかける場合、麻酔による死亡事故が起こる確率は極めて低いです。手術をする美容外科医が麻酔の管理も同時に行う場合、手術に夢中になるあまり、呼吸が止まっていることに気が付かないなどの事故が起きる可能性があります。
顔面の骨切り手術による死亡事故
一方で、最も恐ろしい死亡事故のリスクがあるのは顔面の骨切り手術です。顔面の骨切りには様々な種類がありますが、特に死亡事故が起きやすいのは主にルフォーI型骨切り術です。ルフォーI型骨切り術は、顔面の中央部分の骨を切る手術で、この骨を切る際に、近くを通る太い動脈を損傷し、大出血を引き起こすことがあります。
この際の大出血は、すぐに糸で血管を結紮したり、電気メスで止血したりといった処置が非常に難しいです。口の中からみるみるうちに動脈性の出血が広がり、どこから出血しているのか分からなくなるため、ひたすら時間をかけて圧迫止血を試みながら、急激に低下する血圧に対して輸血を行う必要があります。輸血の準備が整っていなかったり、止血ができなかったりすると、そのまま出血性ショックで死に至る可能性があります。そのため、ルフォーI型骨切り術は、様々な美容外科手術の中でも死亡事故の確率が高い手術と言えます。
その他、エラ削り、顎の骨切り(オトガイ形成、Vライン形成など)といった下顎の骨切り手術も、手術中の出血で命に関わる可能性があります。また、手術後に大量に出血し、その血液が喉の周りに溜まって血腫となり、気道を圧迫して窒息死に至ることもありえます。
しかし、頬骨削りや額の骨切り、眉間の骨切りなど、顔の上部(首から上)の骨切りに関しては、死亡事故が起きることはほとんどありません。術後に出血したとしても、頸動脈の周りに血腫が溜まって窒息するということは通常考えられないためです。
骨切り手術のリスクが高い理由
骨切り手術の死亡事故が恐ろしいのは、脂肪吸引や豊胸手術の場合とは異なり、比較的「名医」と言われるような一流の美容外科医や形成外科医が死亡事故を起こすことがあるという点です。長年のキャリアを持つ教授レベルの医師が、骨切り手術で死亡事故を起こすケースが報告されています。
なぜ骨切り手術だけは名医でも死亡事故を起こすのかというと、まず顔面の骨切り手術は美容外科手術の中でも比較的難易度が高いため、経験の浅い医師や未熟な医師は、そもそも顔面の骨切り手術を行いません。ある程度の経験を積んだ形成外科出身の医師や、名医と呼ばれる一流の医師が顔面の骨切りを行うため、必然的に死亡事故を起こすのは経験の長い名医であるケースが多くなります。また、経験が長く、手術件数が多いほど、死亡事故を起こす確率は統計的に高くなるのは当然です。
これは美容外科に限らず、形成外科の分野でも同様です。ルフォーI型骨切り術や、クルーゾン病などの先天性疾患に対する顔面骨切り術で死亡事故が起きています。形成外科医が顔面の骨切りで死亡事故を起こす場合も、骨切り専門の有名な名医が起こすことがほとんどです。
骨切り手術の恐ろしい点は、死亡吸引や豊胸手術に比べて死亡する確率が高いということです。死亡件数で見れば、脂肪吸引と顔面の骨切りはほぼ同じくらいですが、脂肪吸引の方が世の中で行われている手術件数が圧倒的に多いです。手術件数がはるかに多い脂肪吸引と、件数が少ない顔面骨切りで死亡事故件数がほぼ同じということは、顔面骨切り術の1件あたりの死亡する確率は非常に高いと言えるでしょう。喉の周りの骨を切るということは、術後に大出血して窒息する、あるいは手術中に大出血して出血性ショックになるというリスクが高いのです。
死亡事故の現状
美容外科での死亡事故は、大体年間数件程度発生しています。時々テレビやネットでニュースになりますが、報道されるのは実際には一部であり、全体の1割か2割程度に過ぎないと考えられます。残りの8割から9割は、事件性がなかったり裁判にならなかったりするため、死亡事故の情報が表に出ることはありません。ニュースにならなくても、美容外科業界の人間には情報が入ってくるため、大体の件数は把握しています。
結論
やはり、手術1件あたりの死亡する確率が最も高いのは、顔面の骨切り手術であると言えます。その中でも特に、ルフォーI型骨切り術、顎の骨切り(エラ削り、オトガイ形成、ルフォーI型骨切り術、SSROなど)といった手術が該当します。
美容整形を検討する際には、それぞれの施術に伴うリスクをしっかりと理解し、経験豊富で信頼できる医師とクリニックを選ぶことが非常に重要です。

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