
教えて、幹弥先生!
美容整形手術の前後はタバコをやめたほうがいいですか?いつから吸っていいですか?
美容整形手術の前後はタバコをやめたほうがいいですか?いつから吸っていいですか?Instagramフォロワー様からの質問に高須幹弥がお答えします。
ブログ読者様より、以下のご質問をいただきました。
「今度、幹弥先生に手術をしていただく予定です。手術の前日や当日は、タバコを吸っても大丈夫でしょうか。また、手術後の喫煙は良くない影響がありますか?」
目次
本日は、ブログ読者様からいただいた「美容整形手術の前後におけるタバコの影響と、美容に対する喫煙のデメリット」について解説いたします。
手術前後のタバコはNG!傷の治りと感染症への悪影響
基本的に、手術の前後においてタバコは吸わないことを強く推奨します。タバコ自体が美容に悪影響を及ぼすため、これを機に完全に禁煙していただくのが理想ですが、実際には禁煙が難しい患者様が多いのが現状です。
タバコを吸うと末梢の血管が収縮し、血流が悪化します。血流が悪くなると、当然のことながら傷の治りが遅くなります。切開を伴う手術をした場合、さまざまな免疫細胞やコラーゲン線維が働いて傷が塞がり、綺麗に治癒するプロセスが必要になります。しかし、血流が滞ると傷口への栄養や酸素の供給が不足し、治癒力が低下してしまいます。これは、血流障害によって傷が治りにくくなる糖尿病の患者様と似た状態と言えます。
また、血流の悪化は感染症のリスクも高めます。どのような手術であっても、完全な無菌状態で行うことは現実的に不可能です。空気中の細菌や肌の表面の細菌が傷口に付着するリスクは常にあります。血流が悪いと、血液によって運ばれる免疫細胞の数が減少するため、局所の免疫力が低下し、結果として感染症にかかりやすくなってしまうのです。

手術後はいつまで禁煙すべきか?
では、手術後はどのくらいの期間、タバコを控えるべきでしょうか。理想を言えば「手術をきっかけに完全に禁煙する」ことですが、それが難しい場合でも、最低限「手術後1週間」は禁煙してください。術後1週間は傷が治るための最も重要な時期であり、この期間を乗り切ることで感染症のリスクを大幅に下げることができます。
ただし、傷が治る(創傷治癒)プロセスは1週間で完全に終わるわけではありません。その後も組織の修復は進行し、完全に落ち着くまでには半年から1年ほどの時間がかかります。そのため、本来であれば半年から1年は禁煙していただくのが望ましいです。現実的な目標として、まずは1週間、可能であれば2週間、さらにできれば1ヶ月間の禁煙をおすすめしています。傷の治りと感染予防の観点から見ると、特に術後最初の3日間が極めて重要です。
患者様の中には「完全にやめることはできません。1日何本までなら吸ってもいいですか?」と質問される方もいらっしゃいます。その場合は、「可能な限り本数を減らしてください」とお答えしています。タバコを吸えば吸うほどご自身にとってマイナスとなります。1日2本で我慢できるなら2本に、1本で済むなら1本に減らすなど、極力喫煙を避けていただくようお願いしています。

全身麻酔におけるタバコのリスク(肺炎や発熱)
手術後だけでなく、手術前の禁煙も非常に重要です。タバコを吸うと気道が炎症を起こし、痰(たん)が出やすくなります。特に全身麻酔を伴う手術を受ける場合は、事前の禁煙が欠かせません。
喫煙による気道の炎症は、タバコをやめてから1〜2週間ほど残ります。そのため、「手術の2週間前から禁煙してください」というのが医師としての本音ですが、難しい場合はできる限り本数を減らすようお伝えしています。
全身麻酔の手術では気管挿管や気道確保の器具を使用するため、自力で咳き込んで痰を出す「咳反射」が機能しなくなります。その結果、手術中に分泌された痰が気管を通って肺に流れ込んでしまいます。痰が多い状態で長時間の全身麻酔を受けると、術後に微熱が出たり、肺炎を引き起こしたりするリスクが高まります。
美容整形の患者様で全身状態が悪い方は少ないため、実際に術後に肺炎を発症したケースはほとんど耳にしませんが、それでも事前の禁煙は必要です。特に糖尿病の持病がある方や、ご高齢で肺炎のリスクが高い方は、最低でも手術の1〜2週間前からの禁煙を強く推奨します。
特にタバコを控えるべき手術・施術の種類
手術前後の禁煙は、メスを入れる「切る手術全般」に当てはまります。その中でも、切開を伴う二重手術や目頭切開、そして鼻や顎のシリコンプロテーゼ、シリコンバッグを用いた豊胸手術など、「異物を体内に入れる手術」は特に感染症対策が重要となるため、タバコは厳禁です。
また、異物を使用しない自家組織の移植(耳介軟骨移植や鼻中隔延長など)であっても注意が必要です。血流のない自家組織を移植し、周囲の組織と癒着するまでの間は感染症のリスクが非常に高くなります。そのため、こうした手術においても術後の禁煙は必須です。その他、顔面の骨切り手術、脂肪吸引、糸を埋め込む埋没法なども異物が体内に残るため、喫煙は好ましくありません。
一方、ヒアルロン酸注射やボトックス、フォトフェイシャルやウルセラといった照射系の治療、糸を使用したリフトアップ治療(イタリアンリフトなど)は皮膚を切開しないため、喫煙によって重篤な合併症を引き起こすリスクは比較的低いです。とはいえ、美容と健康の観点からはやはり控えるのが望ましいと言えます。
タバコは美容の大敵!老化を早めるメカニズム
結論として、タバコそのものが美容にとって最大の大敵です。「美容整形をして綺麗になりたい」と望みながらタバコを吸い続けることは、目的と行動が矛盾していると言わざるを得ません。
前述の通り、タバコを吸うと末梢の血管が収縮し、血流が悪化します。毛細血管への血流が滞ることで、体全体の肌のハリが失われていきます。肌にハリがあり若々しさを保てるのは、良好な血流によって十分な栄養と酸素が細胞に行き渡っているからです。自ら血管を収縮させて血流を阻害する喫煙行為は、体に大きなダメージを与えています。肺がんや食道がんなどの健康リスクを高めることはもちろんですが、美容的観点から見ても非常に悪影響です。
具体的には、喫煙によって肌のハリが失われ、小じわの増加、肌の再生力の低下、シミやくすみの発生を招きます。また、目の周りなど皮膚の薄い部分は血流悪化の影響を受けやすく、青クマや黒ずみの原因にもなります。さらに、歯のヤニ汚れや口臭を引き起こすなど、結果として老化の進行を著しく早めてしまうのです。いつまでも若々しく美しくありたいと願うのであれば、禁煙は不可欠です。
ダイエット目的の喫煙の罠と本末転倒な実態
残念なことに、美容整形を希望される患者様の中には喫煙者が少なくありません。職業上の環境要因も考えられますが、モデルの方々などでも喫煙習慣を持つ方が一定数見受けられます。
喫煙の理由として「ダイエットのため」と答える方がいらっしゃいます。確かに、タバコを吸うと食欲が低下して体重が落ちやすくなる側面はあります。しかし、老化を早め、小じわやクマを増やしてしまうデメリットの方がはるかに大きいのです。ダイエット目的でタバコに頼るのではなく、正しい知識に基づく健康的なダイエットを実践した方が、確実により若々しく美しい容姿を手に入れることができます。
タバコを吸いながら、美肌治療(フォトフェイシャルなど)やヒアルロン酸注射を受ける方もいらっしゃいますが、これは完全に本末転倒です。例えるなら、「ジャンクフードや甘いお菓子をたくさん食べながら、痩せるためにジョギングをしている」ような状態であり、美容医療の効果を自ら打ち消してしまっています。美容の情報を発信する立場にある方々こそ積極的に禁煙の重要性を伝えていただきたいところですが、現状ではなかなか浸透していないのが実情です。

結論:美容と安全のためにタバコは極力やめるべき
安全に手術を受け、術後の経過を良好に保つためにも、手術の前後は可能な限り禁煙を心がけてください。
タバコを吸うことは、美容面でも健康面でもご自身にとって百害あって一利なしです。喫煙によって傷跡が汚く残るリスク、感染症にかかる確率、さらには治癒不全によって傷口が開いてしまうリスク(適切な縫合が行われていれば稀ではありますが)が確実に上昇します。
手術を安全に成功させ、理想の美しさを手に入れるためにも、これを機にタバコとは距離を置くことを強くおすすめいたします。
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