
教えて、幹弥先生!
ピル(経口避妊薬)を飲んでいても美容整形手術受けれますか?リスク、副作用は?
ピル(経口避妊薬)を飲んでいても美容整形手術受けれますか?リスク、副作用は?Instagramフォロワー様からの質問に高須幹弥がお答えします。
Instagramフォロワー様より、以下のご質問をいただきました。
「私は現在ピルを服用しているのですが、美容整形の手術を受けることは可能でしょうか?また、ピルを飲んでいることで生じるリスクや問題点があれば教えてください。」
目次
今日は、この「ピルを服用中の美容整形手術の可否と注意点」について、僕なりの考えを詳しくお話ししますね。
ピル服用中でも美容整形は受けられる?
まず結論から言いますと、ピルを飲んでいても美容整形の手術は受けることができます。「ピルを飲んでいるから美容整形の手術ができない」ということは通常ありませんので、安心してくださいね。
実際、高須クリニックにいらっしゃる若い女性の患者様でも、半分近くの方がピルを内服されています。避妊目的で飲んでいらっしゃる方ももちろんいますが、美容整形にいらっしゃる女性は非常に美意識が高いので、ニキビの改善や美肌目的で飲んでいるという方がとても多いんです。そのため、高校生の女の子などでも普通にピルを飲んでいる方はたくさんいらっしゃいます。
また、子宮内膜症の治療や、重い生理痛、生理不順を改善する目的で、婦人科から処方されて飲んでいるという方もよくいらっしゃいます。
このように、クリニックにいらっしゃる若い女性の約半数はピルを飲まれていますが、そういった方たちも普通に、二重の手術や鼻の手術、輪郭の手術、脂肪吸引、豊胸手術などを毎日受けていらっしゃいますよ。

注意点①:一緒に飲んではいけない抗生剤がある
美容整形の手術を受けること自体は全く問題ないのですが、いくつか大切な注意点があります。
まず一つ目は、術後に処方される「抗生剤」との飲み合わせについてです。術後の感染予防のために抗生剤をお出しすることがよくあるのですが、ピルを飲んでいる方は「ペニシリン系」や「テトラサイクリン系」の抗生剤は飲まないほうがいいです。
なぜこれらのお薬がダメなのかと言うと、ペニシリン系やテトラサイクリン系の抗生剤には、ピルの効果を弱めてしまう(減弱させる)作用があるからです。
特に避妊目的でピルを飲んでいる方が、知らずにペニシリン系やテトラサイクリン系の抗生剤を一緒に飲んでしまうと、その期間や飲み終わってしばらくの間はピルの避妊効果が落ちてしまいます。その結果、普通に性行為をして膣内射精をしてしまうと、予期せず妊娠してしまうリスクがあり得るんですね。
ペニシリン系というと「アモキシシリン」などがメジャーですし、テトラサイクリン系だと「ミノマイシン」や「ミノトーワ」などがあります。テトラサイクリン系のお薬は、ニキビの菌を叩くためによく出されるお薬なので、ニキビ治療で皮膚科に通っている人も要注意ですね。
ただし、これら以外の抗生剤、例えば「フロモックス」などのセフェム系のお薬であれば特別問題はありません。
もしどうしても治療のためにペニシリン系やテトラサイクリン系の抗生剤を使わなければならない場合は、そのお薬を飲んでいる期間と、飲み終わってから1週間は、必ずコンドームなど「ピル以外の正しい避妊」を行ってください。飲み終わって1週間経てば、その後は通常通りピルの効果が戻りますので、妊娠する心配はまずなくなります。

注意点②:止血剤(トランサミン)との併用リスク
もう一つの注意点は、血栓症のリスクについてです。
皆さんご存知かと思うのですが、ピルは女性ホルモンの複合薬なので、血液がやや凝固しやすくなる(固まりやすくなる)という特徴があります。全員に起こるわけではありませんが、血栓症が起きやすくなるリスクが少なからずあるんですね。
一方で、美容整形の手術、例えば豊胸手術など比較的大きくて出血しやすい手術をした後には、出血を抑えるために「トランサミン」という止血剤を処方したり、点滴から入れたりすることがあります。
このトランサミンというお薬も止血作用があるため、ピルと併用してしまうとさらに血が固まりやすくなり、血栓症がより起こりやすくなってしまいます。
ピルを飲んでいる方はもともと血液の凝固能が高い状態にあるので、僕の場合は、ピルを飲んでいる患者様にはあえてトランサミンの点滴や内服薬はお出ししないことがほとんどです。
「トランサミン(止血剤)を使わなくて、何か大きな問題が起こらないの?」と不安に思うかもしれませんが、使わなかったからといって大きな問題が起こることはまずありませんので、その点は心配いりませんよ。
クリニックへの「事前申告」が何より大切
これまでお話ししたように、お薬の飲み合わせによるリスクを避けるためにも、クリニックに行って手術などを受ける際は「私はピルを飲んでいます」とちゃんと申告することが何より大事です。
申告を忘れてしまうと、クリニックによってはピルと相性の悪いペニシリン系やテトラサイクリン系の抗生剤を処方してしまったり、トランサミンを出してしまったりすることがあります。
実際のところ、美容整形のクリニックや美容皮膚科にいらっしゃる若い女性の大半はピルを飲んでいます。ですので、「ピルを飲んでいます」と申告することは全く恥ずかしいことではありません。ご自身の安全を守るためにも、カウンセリングや問診の際に、普通に申告していただくのが一番いいですね。
大きな病気の手術と美容整形の違い
少し余談になりますが、一般的な病院で行われるような命に関わる大きな手術の場合は、手術前に「ピルの内服をいったん休薬(お休み)しましょう」という指針が出ていることが多いです。
例えば、心臓のバイパス手術や弁置換手術、大血管の手術などですね。特に血管系の命に関わる手術の場合、術後に血液が固まりやすくなっていると血栓を作ってしまうリスクが非常に高くなります。
そもそもそういった重大な血管系の手術をした後は、「ヘパリン」や「ワーファリン」といった血液をサラサラにする(凝固能を落とす)お薬を継続して使うことが多いんです。ピルは血を固まりやすくする作用があるため、これらのお薬の効果と喧嘩(拮抗)してしまいます。だからこそ、手術前にピルをやめてもらう必要があるんですね。
ただ、美容整形の手術においては、バイパス手術のように命に関わるような大掛かりな手術は通常行いません。フェイスリフトや豊胸手術、脂肪吸引といった程度の体への負担(侵襲)であれば、あえてピルを休薬する必要はないんですよ。
ピルによる術後の腫れや出血への影響は?
最後に、「ピルを飲んでいることで、美容整形の手術に何かリスクや副作用、仕上がりへの影響はありますか?」という疑問についてですが、これに関しては「特別な影響はない」と思ってもらって大丈夫です。
実際に毎日、ピルを飲んでいるたくさんの若い女性の手術をしていますが、ピルを飲んでいない方と比べて、特別に出血しやすいとか、逆に血が止まりやすいといったことは感じません。術後の腫れが出やすい、出にくい、あるいはむくみやすい、むくみにくいといったことも、ピルの有無で特別な差はありません。
厳密な医学の話をすれば、ピルを飲むと若干血が固まりやすくなるため、「出血しにくくて腫れにくい」という微細な傾向はあるのかもしれません。しかし、僕自身がこれまでに数多くの手術を行ってきた経験から言っても、目で見てもわからない程度のほとんど優位差を感じないレベルです。
ですから、美容整形の手術を受けるにあたって、ピルを飲んでいるからといって過度に心配する必要は全くありませんよ。
ピルを服用中の方は、今回お話ししたようなお薬の飲み合わせの注意点さえしっかり守り、クリニックへの申告を忘れずに行っていただければ、安全に美容整形を受けることができます。安心してくださいね。

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